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キルステンのジェットウェーブはんだ付装置  9806

 

キルステンのリニアポンプを使用したジェットウェーブはんだ付け装置は既に20年近くの実績があり、販売台数も2000台以上とのことです。昨年のプロダクトロニカショーでは、発明者のカールフリーエにも会い、装置を詳かく説明して頂きました。空洞のホラージェットウェーブによりブリッジ&オープンジョイントが少ないのが特徴です。私の見るところ、完全なインライン型ではないことから、大量一貫生産ラインよりもむしろ、少量生産や試作用に大変向いているとの印象を受けました。
先日、当社近くで本装置を使用している工場を見学しましたが、やはり不良が少ないのが良いとのことでした。日本販売店はサンワ電子(株)TEL 03-3424-1616 です。

 

(まえがき)

最近我国某社が電磁ポンプを使ったウェーブはんだ付け装置を商品化し、注目を集めている。この型のウェーブはんだ付け装置は機械式モーターを使っていないことから数々の特徴がある。

  1. はんだ量が少なくてよい
  2. 立ち上げ時間が短い
  3. モーター回転軸がなく、従ってドロスの発生が少ない
  4. ウェーブ表面の酸化膜が少ないことからブリッジを生じにくい
  5. ドロス等はんだの廃棄量がすくない
  6. メンテナンス時間が短い

 

スイスのキルステン社では既に25年以上前から、「Mr.フリップ」と同様、電磁ポンプを使ったジェットウェーブはんだ付け装置を製造販売しており、既に2000台以上を出荷している。なお、タムラの話では、トランスメーカーであるタムラの強みを生かし、キルステンの特許に触れない様に開発したとのことである。

 

リニアーポンプモータ
リニアーポンプは溶融はんだ槽の出口にフランジで取付けられており、磁性のないチタン製隔壁で溶融はんだと区分されている。エネルギーの伝達は純粋な誘導電流による。固定子(stator)内には磁場が形成されている。磁場は溶融はんだ槽の底まで続いている。リニアポンプ内流路に存在する溶融はんだは、高電流によりあたかも トランスの2次巻線が短絡した様に作用する。
誘導電流が磁力エネルギーに変換することにより、溶融はんだ槽内のはんだに力が作用し、はんだが動く。
ウェーブ波全幅において均一な吐出圧力分布とするため、パテントである複数式の平行リニアポンプ(例えば12〜360ミリ幅)が配置されている。
ポンプ配列に従い、モーターも又分割されており、固定子中のスペースはモーターを冷却する。
主ポンプと平行して動く補助ポンプにより、溶融はんだ貯留槽からメインの溶融はんだ槽へはんだを再移動する。

 

写真1

 

特徴
(1) 最高溶温270℃
(2) 鉛フリーはんだに最適
(3) 純粋な誘導方式
(4) はんだ量が少なくて済む(主としてポンプ回りのみ)
(5) 空洞のウェーブで、凹凸のないなめらかな流れ
(6) 0.4ミリピッチまで最高の仕上がり
(7) 統合された溶融はんだ貯留槽
(8) 補助ポンプにより波高を常に一定とする
(9) はんだ量が少なく、昇温時間は45分で済む
(10) はんだ合金の交換は20分で済む
(11) メンテナンスはごく少ない
(12) 手入れする際、はんだ浴槽はレール上を動かし取り出せる

 

向流空洞ジェットウェーブ
基板の搬送方向と逆の方向へ流れる空洞を有するジェットウェーブは様々の特徴を有している。

フレキシブルな流れ
一般に、大型基板はウェーブはんだ付中、反りやすい。ジェットウェーブは基板高さの変位に自動的に追従補正することができることから、ふぬれを減らせる。
この様にジェットウェーブはフレキシブルであり、反った基板の低い部分にも自動追従する。

波高調整が容易である

熱ショックが小さい
ジェットウェーブへの接触長さは約25ミリであり、熱ショックが小さい。
ジェットウェーブはダブルウェーブに比べて、ウェーブ接触時間はわずか20%であるが、熱伝達量は8倍と多い。(流速が大きいため)

引き下げ効果
ジェットウェーブは基板下面に接触すると、基板に密着して流れ、ベルヌーイ効果で、基板および部品を下方へ引き下げる。従って部品リードの固定(クランプ)が不要。

極細ラインへの適応性
キルステンジェットウェーブは特にファインピッチ基板に適している。 導体幅0.1ミリ、スペース0.2ミリでも何の問題もない。0.4ミリピッチにも適応できる。
ウェーブはんだの継手不良防止を図るにはキルステンのジェットウェーブが最適。

 

写真2

 

動圧効果
ベルヌーイの法則
ベルヌーイの法則から、ある連続する系においては、
P=全圧
Pstat=静圧
Pdyn=動圧=1/2mv2
P=Pstat+Pdyn=一定

 

液体の流速が増大すると、動圧(1/2mv2
は速度の2乗に比例して増大する。全圧は一定であるから、静圧は低下する。
1〜8ミリ位の錫めっき鋼線をコンベヤ搬送速度の0.8m/分でジェットウェーブに浸すと、高流速のため低圧部が生じ、その結果、溶融はんだ流がめっき線を完全に包む。
キルステンのジェットウェーブは、あたかも飛行機の翼に沿って空気が流れるように、障害物の回りをはんだ流が回り込みやすい。
その結果、

 

表面実装部品回りの流体特性
ジェットウェーブ流速をV1とすると、表面実装部品の回りでは、ウェーブは、より長い距離を流れる必要があり、この箇所では更に大きな流速V2となり、静圧が一層低下する。(大げさにいえば真空吸引部となる)
その結果、表面実装部品は溶融はんだで残らず包みこまれ、ふぬれが発生しない。
たとえば、角棒の場合でもジェットウェーブは全周をぬらすことができる。

 

酸化防止オイルシステム
キルステンのドロスフリープロセス
はんだ付中および待機状態、溶融はんだは特殊な酸化防止オイルでカバーされており,酸化を防いでいる。本システムは循環モードである。ウェーブが循環し始めると、コンテナ(1)の酸化防止オイルがポンプ(3)によりプリヒーター(4)を通り、はんだの吹き出し口へと送られる。

写真3

 

低温の酸化防止オイルは溶融はんだ温度を下げることからプリヒートされる。オイルプリヒーターははんだ槽と連結しており、これにより加熱される。
従って、溶融はんだ温度は均一である。洗浄可能なワイヤーメッシュフィルター(7)が、酸化防止オイル中の不純物を除去する。
酸化防止オイルを交換する場合、レール上の酸化防止オイルコンテナを引き出すことが可能であり、酸化防止オイルはバルブ(8)で抜き取ることができる。

 

各種のフラクサーシステム
コールドエアナイフ付発泡フラクサー
伝統的な発泡フラクサーに、ろ過されたコールドエアーが装備されており、エアジェットがフラックス泡を基板面に広くかつ均一に分散させる。

 

ブラシスプレーフラクサー
回転ブラシの先端はフラックスにぬれており、プログラム制御された電磁スイッチによりスプレーエアナイフが吹出し、ブラシ先端のフラックスを基板下面に吹き付ける。

写真4

 

ジェットスプレーフラクサ
フラックスは振動するエアノズルからのエアーにより基板下面に吹き付けられる。エアノズルは基板進行方向と直角に運動する。ノズルは停止時、自動的にセンターポジションにとまる。 稼働中、ノズルの運動幅は基板の幅で決められる。吐出量は定量ポンプにより正確に制御される。
吸い上げられたフラックスは完全に霧化され、残渣は残らない。 調整ポイントは以下の3点のみである。

基板の長さはセンサーにより自動計測される。

写真5

 

プリヒートトンネル
プリヒーター
プリヒーターは定格対流ヒーターと、電力可変ヒータとから成る。

機能
待機状態では定格パワーの10%のみを消費し、ファンは停止している。
はんだ付が始まると、予め暖まったエアーとフレッシュエアーとがサクションチャンネル(1)を通り、下部のチャンネル(2)へ導かれ、ブロワー(3)によりヒートチャンバー(4)へ送られ、ヒーターロッド(5)に触れ高温となる。温度センサー(6)により温度制御される。更に熱風は反射板(7)によりミックスされ均一な温度となり、基板(9)へあたる。このエアーの一部は電力節減のため再循環される。

 

基板ホルダー
キルステンジェットウェーブはんだ付装置にはシャトルタイプ(基板が往復運動する)と、スループットタイプ(インラインタイプ、一方向へ通過する)の2通りがあり、基板の固定搬送方法が異なり、いろいろなホルダーがある。

写真6

 

基板サイズ:長さは標準で440ミリ、最長で600ミリ、幅は装置の幅により、190、360、500ミリ

 

消耗品
基本的に従来使用されているフラックス、はんだ、カバーオイルを使用できる。しかし、カバーオイルについては、キルステン支給の長寿命カバーオイルを勧める。

シャトルシステム K5190P,K5360P

1970年から2000台を販売している。作業員一人で基板の装着、はんだ付け、基板取り外し、検査を行なう。基板キャリヤーは自動的に入口に戻る。

スループットシステム K5360D、K5500D

キルステンは2000台のシャトルタイプ納入の経験に基ずき、より高機能なスループットシステムを開発した。

写真7

 

(あとがき)
先日、日本国内で使用されているキルステン社のシャトルタイプを実際に使用しているユーザーを見学した。酸化防止オイルを使用していなかったが、工場長さんの話では、はんだ付品質は日本製のダブルウエーブはんだ付装置と比較し、格段に優れているとのことであった。従来、キルステン社のジェットウエーブはんだ付装置は、トランスの絶縁樹脂の高温多湿下における絶縁性がやや低いという問題があったが現在改良し、解決している。又、待機状態でも間欠的に酸化防止オイルをドロップし、数秒間ウエーブを吐出することで、ノズル部への酸化物付着を防止しており、間欠運転もスムーズになっている。本装置は、一貫生産ラインに組み込みにくく、どちらかといえば多品種少量生産あるいは試作用などに向いていると思われる。大量生産よりも少量生産に適している。
本装置の日本総代理店はサンワ電子(株)(TEL03−3424−1616)である。

 




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   代表取締役 安部可伸

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