この論文は当社発行の「2001最新海外FC/CSP実装技術」から抜粋し、約半分削除しました。詳細は本書をご覧下さい。
ビルドアップPCBにはんだ付したウェハーレベルCSPの歪と応力の解析
(弾性、弾塑性およびクリープについて)
要 旨
本法では、マイクロヴィアビルドアップPCB上のウェハーレベルCSP(WLCSPと略記)のバンプはんだ接合の信頼性を温度サイクルで検討した。62Sn36Pb2Ag合金のはんだ接合は、@弾性材料、A弾塑性材料、BGarofalo アーレニウス定常状態クリープ法則に従う材料と仮定する。WLCSPのコーナー部の接合における応力と歪を示し、三材料モデルと比較した。またマイクロヴィアを持たないPCB上のWLCSPのクリープ解析と比較した。

序 言
1992年の塚田の報告から、ローコストのFCオンボートの研究が爆発的に進んだ。シリコンチップとエポキシ基材との熱膨張の不一致から、はんだ接合に信頼性のためにアンダーフィル封止剤が必要とされてきた。しかしその加工のために製造コストが上昇し、生産能力は低下した。加えてアンダーフィルしたフィリップチップはリペアが非常に難しい。
WLCSPと呼ばれる新タイプのパッケージの特徴は、金属層を使って外辺配列のファインピッチパッドをより大きいピッチの面配列パッドに再分配し、チップ上により大きいはんだバンプ接合を可能にすることにある。
他の新技術と同様、 WLCSPは多くの問題に直面している。高密度のPCB上への WLCSP開発には次のことに注意が必要である。
・ WLCSP のインフラがまだ確立していない。
・ WLCSPの規格がまだ確立していない。
・ WLCSPの専門的知識が容易に入手できない。
・ ベアウェハーが容易に入手できない。
・ ベアウェハーの取扱いはデリケートである。
・ 低収率のICウェハーは高コストである。
・ 再分配が依然高コストである。
・ バンプ形成費が高価
・ 特に高級なダイに対して、再分配収率が低いため、高コストである。
・ ダイが収縮するとシステムメーカーがトラブルになる。
・ 素早い検査と高温でのバーンインがウェハーでは困難。
・ ウェハー上の1点だけの改良が困難。
・ WLCSPのPCBへの実装が困難。
・ マイクロヴィアビルドアップPCBの接合信頼性への影響
・ α粒子がWLCSPの鉛を含有するはんだを貫通し、ソフトエラーが発生。
・ WLCSPの無鉛はんだ化
・ WLCSPにアンダーフィル封止剤が必要か?
・ WLCSPを誰が製造するのか、IC工場か、バンプ工場か?
・ コストに合い、信頼できるWLCSPの用途は?
・ WLCSPの市場の大きさは?
・ WLCSPのライフサイクルは?

本報では、ビルドアップPCB上の、あるいはPBGA基材上のWLCSPの接合信頼性を検討した。共晶合金62Sn36Pb2Agを、@弾性材料、A弾塑性材料、Bクリープ材料であると仮定し、温度サイクル負荷の影響を検討した。

境界値問題
1. 構造
図1に検討中のシリコンチップを略図で示した。チップ寸法は9×9×0.5mm、外辺パッド数121(0.06mm口)、スペース0.1mmを再配列後、パッド0.75mmピッチ、Φ0.3mmとした。
図2は、バンプ形成WLCSPのビルドアップPCB組立品を示している。1.6mmtのPCBに0.15mmtのビルドアップ層によるマイクロヴィアビルドアップ構造が見られる。PCBのFR-4、ガラスエポキシ、銅パッドは0.018mmt、はんだ接合の高さは0.15mm、62Sn36Pb2Ag共晶はんだである(図3参照)。
図4は、ビルドアップPCB上のバンプ形成WLCSPの有限要素モデルを示す。マイクロヴィアの径が、0.1mmから0.15mmまで変化していることが分る。マイクロヴィアの銅厚さは0.025mmである。ビルドアップ樹脂層の厚さは約0.125mm、対称性の故に対角断面の半分をモデル化した。また2次元解析を行った。焦点はコーナーのはんだ接合であるから、きめ細かく分割した。

2. 材料物性
・樹 脂:
ヤング゙弾性率 ポアソン比 熱膨張率(CTE)
20Gpa  0.3 50×10-6/℃

・電解銅:クリープに対して弾塑性材料と考えられ、解析結果は
降伏強度 降伏歪 ヤング弾性率 破断強度 正弦塑性率 CTE
54MPa 0.007 76GPa 200MPa 7.6GPa 17×10-6/℃

62Sn36Pb2Ag合金の材料特性は文献によった。はんだのクリープ材料的物性は、以下のように与えられる。
  本研究に用いた有限要素コードはANSYS5.6.1である。それは境界値問題を下式で表わされるGarofalo アーレニウス定常状態クリープ要素式で解くことが出来る。
ここで
ν  ;定常クリープせん断歪
dν/dt;定常クリープせん断速度
c   ;材料定数
G   ; 温度に依存するせん断率
θ ;絶対温度(°K)
ω ;力学法則の応力依存性が破れる応力レベル
τ  ;せん断応力
n ;応力指数
Q   ;種々の拡散機構が生ずる活性化エネルギー
k  ;ボルツマン定数(8.617×10-5eV/°K)

62Sn36Pb2Ag合金については、材料定数が実験的に求められ、一本の双曲正弦関数としてとめられている。
ここでn=3.3、Q=0.548eV、A=801(508-θ/θ(sec-1)、B=3163-6.23θ(sec-1)。もしはんだがvon Mises式に従うならば次式が得られる。
3. 境界条件
PCB上のWLCSPへの温度負荷は、1サイクル60分で昇降温時間15分、休止時間は110℃で20分、-20℃で10分であった。この条件を選ぶには二つの理由があった。@FR-4、PCBのガラス移転温度が120℃であり、PCBの劣化による余分の故障機構を入れたくなかった。A-20℃以下でのはんだ挙動はよく分っていない。弾性および弾塑性解析に対して入力はー20℃から110℃だけであり、クリープ解析に対しては5サイクルを実施した。

弾性解析と結果
図7はビルドアップPCB上のはんだバンプ形成WLCSPの弾性変形(50倍)を示す。130℃の温度上昇で、組立品全体が凹形に変形することが分る(最大変位0.025mm)。これはシリコンチップとPCBとの熱膨張率の差による(2.8×10-6、18×10-6/℃)。また図7から、ビルドアップ層とPCBの上面はビルドアップ樹脂の熱膨張率(50×10-6/℃)の差によって、下方に曲がっていることが分る。
マイクロヴィア中のvon Mises応力等高線図を図8(省略、図9と同傾向)に示した。最大の応力は407Mpaであり、電解銅の破断強度よりはるかに大きい。マイクロヴィア中の有効線形弾性歪を図9に示した。それは非常に小さい値である。これらの不可解な応力―歪関係は、線形弾性解析の限界のためである。コーナー部はんだ接合中の応力と歪のvon Mises等高線図を、図10(省略、図11と同傾向)、11に示した。最大応力163MPaは余りに高く、歪0.0124は余りにも低い。
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